2014年12月27日土曜日

2014総選挙考 共産党選挙公約における社会保障(福祉)の位置づけ

共産党といえば、「福祉(社会保障)の充実」というスローガンが思い浮かべる。70年代の革新自治体もこれが目玉政策だった。

しかしここ20年来、「福祉(社会保障)の充実」が借金の原因だとか、財政再建の足かせとか難癖をつけられ、攻撃の対象になっている。構造改革とか新自由主義経済という政治思想がその土台になっている。

それに対し、共産党は借金は大型開発などムダな公共事業の推進だとか、消費が冷え込み景気が悪化し、納税が減収となり財政再建ができていないと指摘し、福祉を削るのは間違いだ!と堂々と反論してきた。

90年代後半にその主張に一定の支持が集まったが、自民‐民主の構造改革とか新自由主義経済という政治思想が共通項の二大政党作りが本格化すると、共産党第2の躍進期は続かなかったのである。

各選挙においても医療や年金、介護といった社会保障の問題は国民の関心が高い政策であり続けている。

しかし、共産党の今回の総選挙政策の5つの転換+1には、
 ①消費税10%は先送りではなく中止を
 ②格差拡大の「アベノミクス」の暴走ストップ 暮らし第一への転換で経済を立て直す
 ③「海外で戦争する国づくり」ストップ  憲法9条の精神に立った外交戦略で平和と安定を築く
 ④原発再稼働ストップ 「原発ゼロ」の日本を作ろう
 ⑤米軍の新基地建設を中止し、平和で基地のない沖縄をつくります
 ・政治腐敗の根源をただす 企業団体献金と政党助成金制度の廃止を
と、社会保障問題を正面に立てていないのである。②の暮らし第一への転換というところで社会保障の削減反対、充実について論じている。いつからそうなったのか。

同じく躍進した昨年の参院選挙政策では同じように、
 ①アベノミクスの暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道を
 ②原発の再稼働と輸出を中止し、「即時ゼロ」の決断を――再生可能エネルギーに大胆に転換する
 ③「アメリカいいなり」をやめ、国民の利益を守る外交に――基地も安保もない日本をめざし、自主外交でアジアと世界の平和に貢献する
 ④安倍政権の改憲への暴走と対決し、憲法を守り、生かす政治を
 ⑤侵略戦争、植民地支配を肯定・美化する、歴史の改ざんと歴史への逆行を許さない
5つの柱で訴えているが社会保障問題を正面に立てず、①の中で社会保障の削減反対、充実を訴えているのである。

民主党政権に対し失望感のあった前回の総選挙政策では以下のように改革ビジョンを列挙している。
 ①デフレ不況からどう抜け出すか――国民の所得を増やし、内需を活発にする
 ②社会保障充実と財政危機打開――「消費税増税に頼らない別の道」を提案します
 ③「即時原発ゼロ」の実現を――エネルギーと日本経済の未来をひらきます
 ④TPPに絶対反対を貫き、主権を尊重する互恵・平等の経済関係を広げます
 ⑤東日本大震災からの復興、国民のいのちと生活を守る災害対策に転換します ⑥「いじめ」問題を解決し、競争教育をただし、教育への政治支配に反対します  ⑦米軍基地の異常をただし、安保条約を廃棄し、対等・平等の日米関係を築きます
 ⑧領土紛争の解決は、歴史的事実と国際的道理に立った冷静な外交交渉で
 ⑨小選挙区制廃止、民意が正しく反映する選挙制度に。政党助成金は廃止しま

 ⑩憲法改悪を阻止し、平和・人権・民主主義の原則を国政の全分野に生かします

それ以前の政策は概ね、ルールある経済社会(暮らしや経済の政策)と自主・独立の日本(外交・安保政策)の2本柱の政策集という綱領に基づいた文章であった。

共産党の主張は変わっていはいないが、その出し方に検討が加えられ、13年、14年と2年連続国政選挙で躍進しているという側面が浮かんでくる。そして、国民の関心事として高いが、攻撃の対象になっている社会保障を引っ込め、景気回復と税制改革という経済政策を根拠に社会保障の削減反対、充実を訴えるという構成をし、正面に出さずしても成り立つようになり、いいこというがその根拠は?とい疑問や批判をかわす狙いがあったのでは?それが実際どうだったのかわかないが。

このようなながれになったのは共産党の政策委員会の機構変化が背景にあるのではないだろうか。かつては、経済政策委員会と社会保障対策委員会と別々だったのが経済・社会保障政策委員会と統合されたのである。この間の党勢後退に伴うものと思っていたが、 2012年の野田政権の増税方針に対し、消費税に頼らない別の道として、社会保障充実と財政危機高いの経済提言を発表している。これはこれまでの積み重ねをひとつにまとめ、さらに13年以降、これを支持してもらえるような出し方を考えたのではと推測できる。こういった中央の議論も時間が経った今だからオープンにし、選挙の結果受け、どのように変わっていったのか聞かれなくても(聞く記者もいないのだから・・・笑)明らかにして光をあててほしい。躍進した選挙総括はそれくらいしてもらえると、代々木にはどれだけ特定秘密があるんだろう?なんて思う人も減るのではないだろうか。

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