2017年10月24日火曜日

2017総選挙 共産党議席減の背景① 2016参院選の総括不足

予想通りの自公の勝利。しかし、自民党の比例の得票率は33%ということで、内閣支持率下落もと、自民党に切り込めきれなかった対抗勢力の力不足というのが浮き上がる。

野党では筋を通した立憲民主党が支持を集め躍進。同じく筋を通している共産党は前回支持してもらった人が立憲民主党に移ったために議席減。どうやら筋を通せばいいってわけではないようだ。

共産党を見ると、
2014総選挙では比例で606万票で20議席と、2000年総選挙並に回復。
この時の比例の目標は650万票。しかし、概ね達成できたとして850万票に目標を上げてしまった。
が、2016参院選で601万票、2017総選挙で440万票と減らした。
野党共闘を声たかだかに掲げた選挙で国政での党勢が低迷期に戻ってしまったのだ。
こういう現状で今後も850万票の目標を掲げるのか。
ここは共産党がどのように党内を指導していくのかということで注目のポイントだ。

党独自の戦いで得票を積み上げるということではなく、
野党共闘の支持を広げる中でそのときの有権者の【気持ち】が得票につながる中、
党独自の得票目標を持ち続けることが適当なのだろうか。議論を期待したい。

共産党の議席減の原因のひとつとして、
2016参院選の総括不足が感じる。
野党共闘=政権打倒後の枠組みを語ったのに票が伸びなかったのに、
これまでの「直近の国政選挙との比較」をせず、「2013年参院選との比較」をしたため、
515万票から伸びたとして、目標の850万票との落差に目を向けなかった。

つまり、今回の常任幹部会声明にある「共闘を前進させながら、いかにして日本共産党の躍進をかちとるか」という課題を一年間見過ごしてきたのではないか。
それが今回の状況を生んでいるのではないか。

そうなると、2016参院選-2017総選挙を一体と見て、
この政治情勢がこれまでと何が違い、どんな困難が生まれ、どんな可能性があるか。
これを明らかにする必要があるのではないかと考える。

と、いうことで、共産党議席減の背景の一つ目として、
「野党共闘を掲げて伸び悩んだ2016参院選の総括不足」をあげる。






2017年10月21日土曜日

2017総選挙 2014総選挙と何が違うのか

自公で300議席という予測がまるで同じような感じがするが全く違う。

まず安倍内閣の支持率が落ち、不支持の方が高い中というのが一番だ。
だから野党共闘が機能しているところは接戦になっている。

しかし、希望の党の一件や北朝鮮情勢で安定感を求める感覚が比例で自民党への安定した支持にねっているのではないだろうか。単純に反安倍が反自民にならないのだろう。
そして、この間、民主党支持層からも流れてきた共産党への票が立憲民主に票が戻ってしまう中でのスタート。つまりマイナスからのスタートなのだ。

しかし、前回躍進、7月の都議選での議席増でなんだかプラスからの闘いに思っている人が多かったのだろう。これが戦略にどう影響しているか。
やはり共産党が勝つには共産党の議席の値打ちを語ることが必要なのだろう。
議席減情勢報道でそちらに舵を切ったのはラスト3日。

現有議席にどうやって近づけるか。ここが明日の開票での楽しみだ。

共産党にしてみれば、政策での一点共闘から政権を見据えた野党共闘に変わることで訴え方がちがくなってくると思う。昨年の参院選がまさにその変わり目だったのだが、共産党は直近の国政選挙である2014年の総選挙と比べると比例票で得票減だったわけだ。しかし、2013年参院選と比較しては得票増だとして総括しなかった。このあたりが影響していなければいいが・・・。

2017年10月19日木曜日

2017総選挙 共産党幹部遊説

安倍総理は短い時間の演説を何箇所も入れているが共産党の志位委員長は30分近い演説で、一日2~3箇所。このスタイルは変わらない。
そして19日(木)で全11ブロックを回った。
だいたい第一声の内容と変わらなかった。
そのあたりの硬直的な姿勢が議席減予測を打破しようとしているのかをちょっと疑う。
まぁ、ネットでの取り組みはその辺りも考えているんだなと思うが。

そして残り2日間でまわるところをみると、
志位委員長は千葉・埼玉の中核都市と横浜‐川崎‐渋谷‐池袋の駅頭を回る。

小池書記局長は、個別の選挙区に入る応援が多かったようだ。
市田副委員長と田村副委員長は、志位・小池の回れないところを回るという感じ。
山下副委員長は、近畿を中心に二日に1回程度。おそらく党本部の仕事を辰巳参院議員とやっているんだろう。

そんな中、演説がうまいから?副委員長に抜擢された田村副委員長。
この人の文は好きだ。
今回の総選挙でもいいなぁと思ったのが
安倍総理の福島第一声への痛烈皮肉と安倍の地元下関での演説議席減予測への冒頭演説東北での演説内容

特に、東北での演説内容のラスト。

して、若者が働く場をつくること。
市町村合併で役場や学校、公立施設をへらし、郵政改革で郵便局をつぶし、金融改革で地方銀行つぶし、地域から働く場を奪ってきたのが自民党政治ではないか。

アベノミクスの5年間で大きく伸びたのは、大企業の利益と役員報酬、富裕層の資産、そして自民党への企業献金。
こんなアベノミクスは、もうまっぴらごめんだ!
この声を日本共産党への1票で、安倍総理にたたきつけよう。

だからこそ #比例は共産党

安保法制廃止は大事な政治課題ではあるが、各地の候補者が各地の有権者に響く演説をしてこそ安保法制廃止の話も聞いてくれるのではないだろうか。

田村副委員長の最後の訴えの川口は近いところなので足を運ぼうか迷い中である。
あえての必勝区の埼玉15区ではなく、無党派層の多い川口でやる。
ここに、この最後の訴えの狙いがあるのだと思う。
そのねらいにどのような話をもってくるのか。楽しみである。

小池百合子が「保守」を鮮明にしてきたが、この間、保守と人との共同を言ってきたのは共産党。
「保守」野党の出現で保守批判をしたため、保守の人に響く演説を忘れているような気がする。

その点では保守からの訴えがあるオール沖縄・あかみね政賢の演説会はよかった。
翁長知事のカリスマ性を感じた。

共産党は小選挙区再戦の経験がゼロ。唯一の小選挙区議席・沖縄1区での志位委員長の訴えはこの選挙戦での演説内容とは違った。そして今日の赤旗は沖縄県委員会はあかみね支援への訴えがあり、「台風が近づいているので期日前投票を」と呼びかけている。
情勢調査で接戦からやや先行・堅調となってきたが、投票日が台風で選挙に行けないとこればっかりはわからなくなってしまう。

沖縄1区でのあかみね必勝とともに、比例の戦いぶり。
そして東京12区、大阪3区、兵庫8区、京都1区での得票がどうなるか。

これを楽しみに週末を迎えたい。
 

2017年10月17日火曜日

2017総選挙 共産党の議席減=「さびぬき」政治?

よく議席が増えると○○になります!というのはよく聞く話だ。

例えば、2003年から10年間、共産党は一桁の国会議員しかいなかったわけだが、10人になれば党首討論に出れます!と盛んに宣伝していた。

前回の総選挙で21議席を獲得し、議案提案権を得た。
そして、全常任委員会に共産党議員が配置され、質問時間も随分長くなった。

つまり、このまま予測通りに議席が減ると、質問時間が減るのである。
単独で法案が提出できなくなるのだ。

共産党の質問は調査能力に長け、政府・与党が嫌がる存在という。
この質問の時間が減れば、政府への追及が弱まり、
本題までたどらず時間切れなんてことが増えるかもしれない。

質問時間が長ければ多様な問題点を質問できるだろう。

安倍政権への様々な問題を指摘して
揚げ足取りでない質問ができる共産党の議席は
たとえ、与野党逆転の数に達してなくても
政治に緊張感をもたせる存在である。

ピリッとした空気も作れ、
ときにロシアンルーレットのように隠し球(内部文書)も披露できる。

政界のわさびとでもいようか。

「さびぬき」はイマイチ!という人が多いのではないか?
和食にわさびが必要なように、
日本の政治に日本共産党は必要なのである。

共産党は総定数の4割を占める比例代表が主戦場。
ならば #比例は共産党 である。

2017年10月16日月曜日

2017総選挙 「比例は共産党」で政治を前に~戦後日本政治史における共産党躍進と共産党封じ込め策から考える

日本の老舗政党である共産党。

戦前・戦後・分裂期・綱領路線と95年の党史は一筋には語れないが、議会政治の中で一貫した反体制の野党勢力としての唯一無二の存在である。

戦後まもなくの総選挙で躍進すると、レッドパージで公職追放。50年代から60年代は冬の時代。
1970年代は革新自治体が増え、国会は保革伯仲の時代。79年総選挙では40議席近く躍進。翌年の1980年には社公合意で野党の非共産ブロック(社公民路線)が労働運動とともに形成される。
90年代後半、政治不信などからの共産党躍進。2000年代~10年代前半までは小選挙区制を利用した「政権交代可能な二大政党」で共産党を選択肢から排除。

このように共産党が躍進すると必ず共産党封じ込め策が行われてきた。

そして、2017年。
2013年に始まる躍進期。格差と貧困解消・強権政治批判・民主主義擁護などを背景とした反政権の「声」を受け止めることで躍進する。共産党を封じ込めようとしてもこの「声」を封じ込めることができないと共産党を封じ込めない。それは使い古しの「政権交代可能な二大政党」復活を試みるも、投票を待たずに失速してしまった。しかし、それは多くの市民の「希望」待望の気持ちが宙に浮くことになり、枝野の立憲民主党に食われてしまった。
しかし、この2013年からの躍進期には旧民主党政権に「希望」を感じた人もいたのは事実であり、今回の「共産党伸び悩み」は元の住処に戻られたととも読める。

かと言って、 このまま議席を減らしていいのだろうか。
2013年から始まる共産党の躍進期。この背景を考えたとき、共産党が今回の選挙で受け止める「声」を広げることで野党、とりわけ立憲野党のパイを広げる中で共産党の票を増やさないと意味がない。限られた「声」の奪い合いは、立憲野党のパイを広げることができない。

「野党共闘の見返りは、民主主義だ」

カネと票で政治を売るような「しがらみ」ではなく、本当のまっとうな政治。
これができるのは立憲野党だ。
この「声」を広げなら、多くの「声」を受け止める。
これができるの要の党は野党共闘を党の政治路線として規定している共産党しかない。

だから、比例は共産党

今回の選挙。このように立憲野党のパイを広げながら、共産党躍進を勝ち取る。
そうなれば、共産党躍進が躍進すると封じ込め策が起こるという歴史を変えることができるだろう。
そういった意味で日本の政治を前に進む選挙となると思う。

政治を変えたい。
政治を変えて欲しい。

ならば、比例は共産党

それだけの力がある。

やっぱり、比例は共産党

2017年10月15日日曜日

2017総選挙 やっぱり比例は共産党 ~15日付朝日情勢調査より

マスコミの序盤調査なるもので自公300議席などいう報道があり、内閣支持率下落の中でも小選挙区制で自民がこんなにも勝ってしまうのかと唖然としたものだった。

共産党も立憲民主党に票を食われ比例で伸び悩む状況も「野党共闘」の難しさを感じた。そんなときでも「比例は共産党」キャンペーンを展開するなど選挙中の状況の中でやり方を模索しているあたりに共感してしまう。

さて、15日付の朝日の情勢調査を見ると、4つの小選挙区で共産党に光が当てられてた。

・東京12区(北区と豊島区・板橋区・足立区の一部)
  公明党前職太田と共産党前職池内が激戦を繰り広げている。
・大阪3区(大阪市大正区、住之江区、住吉区、西成区)
  公明党前職佐藤と共産党新人渡部が激戦を繰り広げている。
・兵庫8区(尼崎市)
  公明党前職中野が有利な情勢。共産党前職堀内が激しく追い上げる。
・沖縄1区(那覇市、島尻郡)
  自民党前職国場と共産党前職赤嶺が互角の激しい戦いを繰り広げている。


沖縄1区以外は10日~11日の調査のようである。公明党の選挙区には自民党も、希望の党も、維新もいないため、選択肢無しなどと言われるが共産党の候補者がいいと支持も広がるのではないか。沖縄は前回に続き国場との接戦。現職区だが最後までわからない戦いだ。 共産党は16の必勝区を決めたわけだが、この4選挙区のテコ入れが求められるが幹部応援は18日(木)までだいたい決まっている。少なくとも4人とも比例重複だが選挙区に張り付くとか。

驚いたのが大阪16区。野党統一の立憲民主元職森山が一歩リードしているという。公明前職北側は懸命に追い上げているという。公明の9選挙区が崩れる可能性が見えてきたことは衝撃だ。

また、自民と希望、自民と維新、自民と立憲系が競り合ってる選挙区も見当たる。こういうのを見ると小選挙区においては野党分裂と捉えられている以上、希望や維新も住み分け対象にしないといけないのかもしれない。しかし、今回の希望の党設立を保守分裂と捉えられてたら、共産党が希望と維新と戦う道が開ける。このあたりの論戦のリードや選挙戦の設定なども戦術と関わってくるんだなと思う。

この朝日調査だと共産党の比例はまだ現有議席に届いていない。
共産党も支持拡大が目標の2割と言っているのだからリアルな数字なのだろう。

北海道;議席維持が微妙(0~1)
東北;1議席前後 (0~1~2)
北関東;1~2議席を獲得する可能性。(1~2)
東京;1議席を固め、2~3議席目も狙う。(1~2~3)
南関東;1議席を固め、1~2議席の上積みを狙う。(1~2~3)
北信越;1議席を獲得する見込み。(1)
東海;0~2議席の見込み。(0~2)
近畿;1~4議席になりそうだ。(1~4)
中国;1議席獲得の可能性を残す。(0~1)
四国;議席獲得の可能性を残す。(0~1)
九州沖縄;2議席前後をうかがう。(1~2~3)

これを踏まえると、6~18~23となる。
このままだと議席減だし、頑張れば議席が増えるという予想。
これは共産党にはそんなに暗くない予想だろう。
頑張ればいいんだから。

つまり、どんな票もむだにならない比例では「共産党」に入れれば共産党は都議選のように議席を増やせるというわけだ。その数が「比例は共産党」キャンペーンで莫大になれば比例の議席だけで30を目指せるかも。

共産党の議席減予測で共産党に入れるのをためらってるみなさん。
やはりここは「比例は共産党」でしょう。


2017年10月9日月曜日

2017総選挙 安倍9条加憲をどう批判するか?

様々な改憲議論があるのは承知だが、支配層側の本丸は9条であることは間違いない。
これまで日米安保の深化のもとで9条というのは障壁だった。
が、安保法制の制定により憲法改正しなくても米軍と自衛隊の軍事行動がかなり可能になった。
が、やはり保守政治家としての憲法、特に9条改正はなしとげたい。
そこで、9条の3項を書き加え、自衛隊を憲法上明記して、日米軍事同盟の総仕上げとして自衛隊の行動に歯止めを効かせない状態にする。これがこの選挙で問われる「安倍改憲」である。

この狙いを薄めるために、自分たちがこれまで無視してきた教育無償化や環境権など法律や政策により解決できる問題を憲法問題にすり替える。その勢力として維新・公明・希望との連携が必要になる。ここに補完勢力としての役割がある。そのためには安保・憲法問題で同じ必要性がある。

さて、総理自身は「安倍改憲」を「自衛隊を違憲という人たちがいるのでしっかりと書いて合憲とする」だけという。これに対し、「集団的自衛権を行使できる自衛隊を書き加えると、単に現状追認ではなく、2項が空文化し、自衛隊の活動に歯止めがかからなくなる。」と、難しいことを言う。それに対し、総理からは「そもそも共産党は自衛隊は違憲の立場では?政権に入ったらどうするのか?」「都合よくその時だけ合憲は失礼」など言われる。

選挙である。短い言葉の応酬である。

総理や歴代政府が合憲という立場。違憲だから合憲となるように変えるならつじつまが合うが、合憲と言っときながらわざわざ憲法を変える必要があるのか。

必要最小限度の武力=専守防衛以上のことを自衛隊にさせようとしているから自衛隊を憲法に書いて、新たな合憲の根拠にしようとしているのでは?

他人の立場を持ち出して、自らの本音を隠しているのではないか?

演説での言葉と討論での言葉。このあたりは整理する必要がある。

しかし、自衛隊を違憲と言っている唯一の政党、共産党(支持率一桁)にここぞとばかり多数保守政党が攻め寄る。それは、「自衛隊違憲論」が、政府の憲法解釈に歯止めをかけ、自衛隊そのものが「普通の軍隊」になれなくしてると考えてよいのではないだろうか。

9条の戦力不保持、交戦権の否認からあみだした自衛隊合憲の解釈は「自衛隊違憲論」があってこそと読み取れる。なら、いま本丸に乗り込んできた保守勢力を前に、戦後の保守政治家、法務官僚が編み出した自衛隊合憲解釈に「国家として悩ましい中で生まれたものとして理解はできる」と敬意を示すことでひとつ大人の対応をしたらどうか。

だからこそ、共産党が政権をとっても合憲の解釈と自衛隊の現状は維持する。なぜなら、自衛隊違憲合憲論と自衛隊解消が国民的な課題ではないから。共産党としては国民的課題から解決していくんだという政治姿勢をしっかり出せば良い。ただ、自衛隊違憲の立場の考えとして、国際情勢の変化と国民の合意の元、膨れ上がった解釈以上の実力をなくす「軍縮」に着手し、その後、さらに国民適合位の中で自衛隊を解消し、9条の完全実施をめざす展望をもっている。ということを述べてもいいのではないかと思う。

自衛隊違憲合憲論争ふっかけてくるのは、今の憲法解釈ではやっていけないことを自ら言っているにすぎない。やはり、この間の安保法制は戦後保守政治からも逸脱しているということではないだろうか。

2017総選挙 安倍一強政治で完結しない憲法改正

改憲勢力が国会で発議可能な3分の2以上の議席を占めているにもかかわらず、憲法改正はなかなか前へ進みません。それはなぜか。やはり、国民の反対や、正々堂々と正面に改憲を選挙公約に掲げて当選してない後ろめたさなどがあるのではないかと。それと同時に、この間の民主党の低迷と同時に、安保法制反対に見られる左旋回と共産党の躍進が思い描いてるような議論を進められない要因ではんないかと。

だからこそ、安保法制・改憲議論容認の保守政党が必要であったと。国民の半数の支持を得るためにも憲法改正は大連立で行ったほうが失敗もなく禍根を残さないという思いがあるのではないだろうか。

大阪では維新一強体制の下、自民、公明、民主、共産の各党が都構想反対でタッグを組んで闘うと、住民投票では賛否拮抗で反対が多数。大阪政界から橋下徹を退場させ、いまだに大阪政界は維新対反維新でごたついている。

国民の賛否拮抗の中で、安倍政治対反安倍政治になってしまったら、共産党を含む反安倍政治が本当に政権を担うことになるかもしれない。それが共産党の単独政権の始まりの始まりとなってしまったらこれまで甘い汁をすってきた既存の体制側は困る。なにがなんでも共産党の政権参加は拒否したいということではないだろうか。

そこで反安倍を名乗る保守政党が憲法改正の大連立で、憲法改正の国民投票を安倍信任投票にはしないようにしようとしているのではないだろうか。この総選挙で安倍政権が死に体となれば、岸田や石破、河野太郎などに継がせて憲法改正を何が何でも行う。こういう体制側、支配層側の目論見が今回の小池劇場からは感じ取れる。

つまり、小池百合子の言う、一強政治の打破は憲法改正にむけた保守2強勢力の構築ということではないだろうか。ここに保守政党「希望の党」結党の狙いがあると思う。

打破した先に何を築くのか―。

これをしっかりと見破らないといけない。

2017総選挙 なぜ希望の党は第2保守党として出発したのか

それは小池百合子という人物が保守政治家だから。これにつきるだろう。
では、なぜ、小池百合子は今この時期に第2保守党を作るに至ったのか。

民進党が市民に押される形で安保法制など反対の立場を鮮明にする中で、「野党共闘で政権交代を」という声への明確な答えを出せない中、急な解散があり、若狭‐細野ラインもまとまらず、小池自身が手を挙げたということだろう。

そもそも小選挙区制で二大政党による政権交代という政治体制を2000年代以降つくるられてきたが、それは日米同盟と財界もうけ経済という保守二大政党が想定されていた。2003年総選挙前に民主党と自由党が合併した「民主党」も中道リベラルな保守政党として政権交代をめざした。その民主党が政権交代するために、「国民の生活が第一」ということで社会政策を左廻旋する中で政権をとった。この間、90年代後半の政治不信の中で躍進した共産党は政権選択の対象外としてジリ貧だった。

しかし、民主党の政権交代失敗後、自民党の右翼政治家・安倍が総理・総裁に返り咲き、その反発と民主党からの雨宿り支持が共産党に流れ勢力を増した。これが民主党を保守二大政党としての再生を困難にした政治的背景だった。

そうした中で参院選では政権選択につながらないとして連合も共闘を黙認する中で民主党は議席を伸ばしたが、本質的には体制側につく連合も衆院選での野党共闘は拒否したのだろう。それを党として共産党に出来ないとはっきり言えないこともあり、小池新党が保守政党を宣言して作ることで保守2大政党制の一翼の再生を買って出たのだろう。

そこに同じく保守政治家でもある前原民進党代表も乗っかり、勝ち馬には乗るぞ的な流れで多くの民進党議員が前言撤回で参加したのだろう。

つまり、小池百合子は共産党除くの政治体制を作るために「希望の党」を保守の旗として打ち出したのだと思う。

そうすると、なぜ自民党1党にまかせず、新党を作る必要があるのか。1強体制で保守政治を安定させたほうがいいのではないどろうか。安定多数のある安倍政権がなぜ解散するのかというなぞと同じような思いを抱くところである。

そこは平成保守政治の最大目標、改憲に狙いがあるのではないだろうか。
次のエントリーで持論を述べたい。

2017年10月8日日曜日

2017総選挙 安倍政治にどう対抗するのか‐公示日を前にして

急転直下なのか予定通りなのか。
都議選敗北・内閣支持率低下→内閣改造・北朝鮮危機→臨時国会冒頭解散という流れになった。
野党の臨時国会開会要求にやっと応えたら即解散。
聞く耳をもたない政治とも言うべきか。
こんな安倍政権の政治を「安定」しているからと続けていいわけがない。
「安定」しているように見えても、安倍政権の継続は「絶望」である。
だからこそ「希望」が政治に必要であり、安倍政権の対抗の旗が「希望」であることは理解できる。
しかし、昨年までは「野党共闘こそ希望」と演説の中でどなたかが言っていたような気がするが、
小池百合子が希望の塾を始め、希望の党を設立した今、「希望」は小池百合子の専売特許となってしまった。一本やられてしまった。

しかし、小池百合子の「希望」は改革保守を名乗り、改憲・安保法制容認を訴える。より、新自由主義的な観点での政治統治制度、経済政策、社会保障政策をするという点では第2民進党より、第2自民党である。本人も第1自民党を目指すと言っていたので、これは反安倍でまとまるという「希望の大義の旗」とみるのは間違いである。小池百合子の元に集った民進党議員は看板が変わっただけということではないことをしっかり説明するべきであろう。しかし、そういうことを言っては民進党支持者の票が減る。だから再稼働OKだけど原発ゼロとか、こういった問題に関係なく、大声ではっきりと言える受動喫煙とか満員電車とかのことを選挙政策に掲げているのではと思ってしまう。ちゃんと小池百合子は変節した民進議員のことも考えているかのようだ。

しかし、なぜ、安倍政権への対抗が保守政党なのか。それも同じ右派保守政治家。

そして枝野新党により、共産党社民党を含めたリベラル派の政治ブロックが選挙の構図として認めらる。立憲野党の共闘路線が復活し、まっとうな政治軸での対抗ができたが、この対抗勢力が政権の枠組みと考えたとき、共産党の自衛隊違憲合憲論がツッコミの対象となっている。このあたりが前原が共産党の共闘をしなかった政治的な「生理的問題」かもしれない。

このあたりの問題の持論も述べながら共産党を応援できるエントリーができたらと思っている。

2017年7月9日日曜日

2017都議選 選挙結果から考える④ 自民批判の受け皿として

 今回の共産党の議席増によって、自民党批判の受け皿として共産党も選ばれていたことは明らかである。無党派層の投票先の2番目が共産党だった。そして「埋没」予想を覆しての「議席増」であった。

 しかし、良心的な知識人がコメンテーターとして出演しているTBS「サンデーモーニング」の7/9の放送では共産党の今回の事実は一切触れずの、国政での受け皿がない。という主張のオンパレードだった。良識的な知識人が反共嫌共リベラル派だとしても、番組の報道としても事実として触れもしないで、安倍一強を嘆くだけの番組に?がいっぱいついた。

 都議選後、反安倍報道の「毎日新聞」で首相の単独インタビューがあり、その系列TV局のTBSの反安倍姿勢番組で、決して共産党が受け皿になったことが報道されない・コメントしないのは怪しいと思うのは思いすごしだろうか。

 ちなみにこの日の裏番組、フジ「報道2001」で若狭衆院議員が小池支援の国政政党が憲法改正で安倍政権と協力する可能性に含みをもたせた。これでサンデーモーニングが求める「受け皿」として小池新党をすすめるのか。

 まったくもって、単独インタビュー=売上増=総理に足を向けて寝てられないということか。これでは反骨だと思っていた岸井にもがっかりだ。しかし、岸井は小選挙区制を見直さないとこの1強は解消されない的なことを言っていた。風呂上がりだったので正確ではないが・・・。

 政治改革と称してマスメディアもごぞって進めた小選挙区制と二大政党制・政権交代の幻想の過ちを認めるならば、この選挙の民意の事実から目を背けた姿勢では1強を倒す民意を生み出すことはできなういと思う。

2017都議選 選挙結果から考える③ 築地と豊洲の地元の結果から

 共産党議席増の背景を考えてみたが、やはり共産党の訴え-選挙政策が良かったからではという声もあるだろう。今夏の選挙での共産党ならではの政策といえば「豊洲移転反対、築地再整備」だろう。食の安全を重視し、小池都知事の「豊洲移転、築地再開発」に落胆した市民は共産党に投票したことが考えられるだろう。しかし、出口調査では市場移転問題を選んだ人は少なかったとか。

 そこで築地がある中央区、豊洲のある江東区の共産党の結果はどうであったのか考えてみたい。

 まず、中央区。ここは定数1。当初、共産党は候補者を出してなかったが、衆院2区予定候補を築地移転反対の候補者がいないということで候補者を用意した。しかし、都の市場PTメンバーで豊洲の問題点を指摘していた建築士の森山氏が出馬したことで候補者を下ろしたのであった。自民党の現職は離党し無所属で築地再整備を訴えて立候補した。両氏の得票計は1万5578票と2位の自民新人に及ばなかった。築地の地元でも小池氏の考えが支持されたようだ。

 次に、移転先の豊洲がある江東区。ここは定数4。ここの共産現職・あぜ上氏は民主党旋風が吹き荒れ、8議席に後退した2008年の都議選で初当選している。下町でもあり、中選挙区時代は不破前議長の選挙区でもあった。自身も区議を6期努めており、無党派層が増えているが、厳しい選挙で勝ち上がってきたことを考えると比較的当選が見込まれていた選挙区かもしれない。告示日の第一声に国会議員が入ってないとして、大門参院議員が志願して応援に入ったとか。しかし、なかなかNHKで当確がでない。定数3の目黒、豊島、北などで出ても江東ではまだ出てなかった。他区よりも勢いがなかったのではないだろうか。実際、前回よりも得票は増えているが得票率が下がっており熾烈な選挙戦が繰り広げていたのだろう。それも、争っていたのが民進党を離党し都民ファーストの推薦を受け、旦那が民進党衆院議員の柿沢氏だった。

  「豊洲移転反対、築地再整備」という共産党だけの主張が地元で受け入れられなかったのか。想像するに、豊洲移転反対=豊洲は危険な土地という主張が豊洲に住んている人たちにどれだけ納得してもらえたのかという問題がある。つまり、共産党の主張で豊洲全体が風評被害を受けていると思われているのではないだろうか。そこに他区にあった勢いが豊洲の地元では出ず、苦戦しての当選だったのではなだろうかと思うである。

 とは言っても、あぜ上氏と柿沢氏の票差は3900票差であった。都民の新人はトライアスロン関連会社社長の肩書き。東京五輪の会場でもあり、夢のある主張があったと思われる。自民の現職は江東区長の親族だったはず。そして公明現職と続く。地元を悪く言う人より、希望があり、夢のある話のほうが聞いていて気持ちはいいと思う。移転しなくてあの建物が残っても…と思う豊洲住民からしたらなかなか共産党の主張に流れるような気がしないのである。

 党史に刻める「歴史的勝利」=主張が認められたと決め付けるのは危険のような気がする結果でもある。こういうあたりを考えて、どう小池氏の政策判断に向き合うのか。共産党の考えは明らかであるが人口増の無党派層が多い地区を敵に回すようではこの躍進もこれまでになりかねないような気がするのは思いすぎだろうか。

2017都議選 選挙結果から考える② 共産党議席増の背景

 今回の都議選でなぜ共産党は「埋没」せず、「議席増」できたのか。その背景を考えてみたい。

 まず、この4年間の都議団の活躍がしっかりと都民に映っていたのではないか。舛添辞任、豊洲地下空間問題、百条委員会など大きくメディアに取り上げられるときに必ず共産党都議がいたと思う。しかしそれは東京における市民運動レベルでの共産党への信頼を高め、前回並みの支持はなんとかつないでいけるかくらいの程度で、百合子旋風の中で確実に当選につなげるかといえばそうではなかったのではないか。なので下馬評では10~14議席の予想となっていたのだろう。

 では、なぜ共産党は「議席増」の躍進を成し遂げたのか。それは、国政における自民党の失点が影響しているのは明らかだ。都議会自民党の小池いじめや塩対応への批判は都民ファーストに行ったと思われる。国政における反安倍批判票は都民ファーストとともに、共産党にも多く流れ、そのことが共産党の得票増となり、自民党と競り合う結果を出したのではないかと。また、自民党が逆風の中、「共倒れ」をした選挙区もあり、共産党が漁夫の利を得たところもあったはずだ。
 
 しかし、なぜ野党第1党の民進党ではなく、共産党なのか。それは都議選最終週の日替わり失点をする前からずっと反安倍の姿勢を訴え続けていたことと、民進党の都議選前の離党ドミノの姿を見ていた都民としては都議会では共産党という判断だったのかもしれない。これが国政選挙になったときは共産党ではなく民進党に入れる人もいると思う。また、民進党に票が集まらなかった理由は集票マシーンである「連合」が都民ファースト支援で回ったからだろう。

 このような状況で自民を追い詰めきれなかった共産党の強い地域、文京区と日野市。ともに定数2。文京区は215票差、日野市は863票差である。おそらく公明党・創価学会が票を自民党にも回したのではないかということが予想できる。同じ定数2で当選した北多摩4区も共産党の強い地域。しかし、ここは自民党以外にも都民ファースト公認の新人と都民ファースト推薦の無所属現職がいて選挙の様相が違うことが考えられる。ちなみに公明党が出ている定数3で共産党も議席を獲得したのは墨田区と中野区以外の5選挙区で、北多摩1区では1085票差、北多摩3区では646票差で競り勝っている。

 こういった接戦を勝つ上で、反安倍批判票を小池でも民進でもなく共産党が一番安心して託せる政党と選んでもらえる候補者の魅力、日常の政治活動が根底にあったことはいうまでもない。翌日の新宿街宣はそのことを思わせるものだった。

 文京、日野でも競り勝てれば、自民と共産が21議席で並ぶという状況になっていた。NHKの議席予想の幅が大きかったのも、このような状況もあり得るとのことだったのだろう。だったら起こしたかったというのが正直なところである。

 共産党の応援態勢をみると、定数3のほうが幹部の応援が多かったのは勝てそうな定数2よりも定数3が固めきれなかったのではないかと予想できる。そういった中では今の共産党のリアルな現状と直視したほうがよいのかもしれない。

2017都議選 選挙結果から考える① 共産党議席増の歴史的意味

 今回の都議選は「都民ファーストの会」という小池新党が緑を身につけ、都民ファーストと名乗れば当選できる状況で、共産党は埋没すると予想されていた。おそらく党幹部もそのような自覚をしていただろう。開票特番の序盤では共産党の若林都委員長や小池書記局長から「都民ファーストの出現という難しい条件のもとでの選挙」との言葉が厳しい顔とともにテレビに流れた。これが翌日の敗因声明となるのだろうなと感じた。

 しかしだ。最後の議席を自民党に競り勝った選挙区にどどっと当確出ると現有議席に迫り、並び、追い越すという状況に。「難しい条件の下でも、政権批判の受け皿になり勝利できた」という状況に。共産党にとっても「予想外」の勝利だったのではないだろうか。

 と、言うのも前回の躍進は民主党への信頼回復がされず、2000年代以降の2大政党・政権交代に流れたリベラル・市民派の一部が共産党に流れ、民主党の共倒れなどもあり共産党が躍進したわけだ。そう考えると都民ファーストがいなくても若干議席が減ることは容易に考えられた。

 そこに、小池新党「都民ファースト」の出現だ。高い支持率を背景に候補者を大量擁立したわけだ。若干、公明党の選挙協力により、過半数の候補者を立てるのは辞めたということが結果的に最後の議席を共産党に争わせる状況をうんだわけだが。しかし、「新党」や「第三極」が戦後政治史において共産党や革新勢力の躍進や台頭を抑えてたことを考えれば、「第三の躍進期もここで終わりか」というのが選挙前に誰もが思っていたのではないだろうか。党創立95周年の年に何とも言えない仕打ちだ。だから議席減を最小限に抑えるためにも小池都政に協力的な是々非々など、反小池のレッテル貼りを避けたい共産党の思いはよく伝わってきた。

 90年代の躍進期を振り返ると、国民の政治不信の中、93都議選に小池氏も加わる日本新党が「新党ブーム」をつくり、共産党は勝てなかった。地元、八王子は定数が1増の4になって議席をめざし市議だった清水さんが出たが、日本新党から出だ市議の上島氏が当選して落選している。父の「日本新党にもっていかれたなぁ」という感想が耳に残っている。その後の非自民非共産政権が短命で終わる中、95統一地方選・参院選、96総選挙、97都議選、98参院選、99統一地方選と連続躍進につながった。2000年総選挙は議席を減らすも、小選挙区の得票は伸ばしていた。そんな中それ以降の選挙が「政権選択選挙」のキャンペーンで共産党が選択肢から外れたのだ。その後も「第三極」などの言葉でが出るたびに共産党が「伸びる条件」があっても「伸びない」状況が続いたのだ。

 このような歴史的背景を考えると、今回は「新党ブーム」もある中で共産党の議席が伸びたという戦後政治史ではじめての経験であり、32年ぶりの2期連続議席増という共産党史に刻まれる「歴史的勝利」というわけだ。

 それでは、この共産党史に刻まれる「歴史的勝利」はどのような条件・背景のもと収めることができたのだろうか。次回はこの点を書き留めておきたい。